◆ウォッチ

雫石高級時計工房を訪ねて

こんにちは(^_^)

 

私は先日、岩手県の雫石町という所に行ってまいりました。

 

ここには、あのグランドセイコーが生産されている「雫石高級時計工房」があるからなんです。

 

ここは、主にグランドセイコーの機械式時計を中心に、部品から組立・検査まで全行程を一貫して行っている、世界でも数少ないマニュファクチュールなんですね!

 

東北新幹線に乗り継いで、盛岡駅から車で約20分。

 

美しい緑に囲まれた盛岡セイコーの中に「雫石高級時計工房」はありました。

 

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晴れた日は岩手山が眺められ、少し離れたところには小岩井農場で牛たちが草を食む姿が見られたりと、スイスの山あいに点在する名門時計ブランドの工房にも似た環境です。

 

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今回の訪問の目的は、工房見学と体験実習。

 

 

到着すると早速、ケース研磨の体験です。

 

ここでは実際に、自動巻モデルSBGR051のケースのサイド部分の研磨をさせてもらいました。

 

ザラツ研磨という下地を作る工程と、バフ研磨という仕上げをする工程に分けて磨いていきます。

 

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こちらがプレスで打ち抜いたままの状態のケース。

 

当然ケース表面は荒くザラザラとしていますねぇ。

 

これをサンドペーパーをセッティングしたザラツ研磨機に、当てていきます。

 

ケース表面がカーブしているため最新はムラが出来てしまいましたが、職人さんにコツを教えてもらい再度磨くと

 

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このようにキレイな筋目がつき、最初の状態よりもかなり滑らかな感じになりました。

 

さらに同じ機械でより目の細かいペーパーを使い研磨すると

 

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このように表面がピッカピカの状態になりました!

 

ここまでが下地になります。

 

グランドセイコーではこの工程が凄く重要なんですね。

 

そして最後に、バフ研磨機によって仕上げの研磨を行なうんですが、こちらの砥石は布製の柔らかいものになっています。

 

慎重にケース全体に均一に当たるように磨いていきます。

 

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するとこのように、ほぼ完璧な鏡面に仕上がりました!

 

自分の顔が映り込むくらいのキレイな鏡面!

 

下地のザラツ研磨の段階でも、かなりツヤツヤの状態まで磨きあげるからこそ、グランドセイコーでしか見られない、このような美しい仕上がりになるんですね!

 

 

 

 

 

そして、お次は時計工房内を見学させていただきました。

 

こちらの部屋は、最終的な組み立てを行っている工房です。

 

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この格調高い部屋で、まさにグランドセイコーのマスターピースがつぎつぎと生み出されています。

 

岩手県の伝統的家具「岩谷堂箪笥」製の特注品の作業台に向かって、60人もの熟練の職人さん達が、その匠の技によって力を注いで行きます。

 

この「岩谷堂箪笥」や「南部鉄器」など岩手県には古くから優れた工芸品の伝統があり、そういった職人魂が、この時計作りにも脈々と受け継がれているのかなぁ、と感慨にふけってしまいました。

 

職人さんの気が散ってしまわないか、気にしながら写真を撮らせていただきました。

 

 

 

 

最後に、メカニカルムーヴメントの分解と組立の体験をさせてもらいました。

 

使用したのは9S65というムーヴメント

 

グランドセイコーの自動巻時計の代表的なムーヴメントです。

 

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まずは組み立てられた状態から、ドライバーとピンセットを使い、顕微鏡を見ながら部品を一つづつ分解していきます。

 

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回転錘、一番伝え車、二番伝え車・・・
と一つづつ分解していき

 

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パーツを無くさないように、トレーに置いていきます。

 

さらに、テンプ、三番受け・・・とはずしていき

 

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ここまでが分解となります。

 

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ここまでざっと1時間!

 

冷や汗かきながら、何とか職人さんにアドバイスのおかげもあって、分解できました。

 

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ここから先ほどの逆の手順で組み立てて行くんですが、分解よりはるかに難しく、2倍の時間がかかるらしいです。

 

気合を入れなおして、

 

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ガンギ車、三番車、四番車・・・

 

 

 

 

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そして、三番受け、と組み立てていき

 

 

 

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いよいよ時計の心臓部テンプの取り付けです

 

これが一番のハイライトで職人技を要するところなので、素人の私にとってはかなりの高難度です。

 

10分…20分とやってもなかなかうまくいきません。

 

職人さんにコツを教えていただきながら苦闘の末、ようやく約30分後に取り付けられたその瞬間、髪の毛ぐらい細いひげゼンマイが回転し始めました!

 

まさに時計に生命が宿った瞬間です!

 

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そして最後に回転錘を取り付けてようやく完成です!

 

作業台に向かうこと3時間、細かい作業だけにかなりの集中力を要しました。

 

苦労した甲斐があって、気持ちのいい達成感を味わえました!

 

 

 

今回、短い時間の中でぎゅっと凝縮された内容でしたが、グランドセイコーの販売に携わる者として、またとない貴重な体験をさせていただきました。

 

 

メイドインジャパンのトップに君臨する時計ブランドとして、最高の品質で一生愛用できる時計を届けたいという、職人さんの情熱やぬくもりが伝わってくる時間でした。

 

 

グランドセイコーを直接お客様に紹介する者として、こういった作り手の思いを少しでもお客様にお伝えできれば嬉しいです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HASSIM_SHOP

投稿者:加藤
初めてご来店されたお客様にもリラックスしてくつろいでいただけるような接客を心がけています。趣味は海外旅行、スポーツ観戦、ライブ鑑賞など出かけることが大好きです。
[保有資格] ジュエリーコーディネーター/CWCウォッチコーディネーター

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